このたび、第5回 Japan VT Symposium の当番幹事を神戸大学の福沢公二および杏林大学の上田明子の2名で務めさせていただくこととなりました。
本シンポジウムは、心室不整脈という極めて専門的かつ重要な領域に焦点をあてた研究会として、2021年にスタートしました。第1回から第4回までの開催を通じて、心室性不整脈治療に情熱を持つ医師、臨床工学技士、看護師が一堂に会し、活発で率直な議論を交わすことのできる貴重な場として、多くの参加者の皆様に支えられてまいりました。今回もその精神を引き継ぎつつ、第5回にふさわしい、より実践的かつ刺激的なシンポジウムとなるよう準備を進めております。
近年、心室不整脈の診断・治療技術は目覚ましい進歩を遂げております。高密度マッピング技術に加え、機能的な解析(functional mapping)が実臨床に取り入れられるようになったことで、これまで見えにくかったメカニズムの可視化が可能となり、治療戦略は日々アップデートされ続けています。また、アブレーション技術においても従来の高周波に加え、化学的アブレーション、そして現時点ではまだ心房細動に限定されるパルスフィールドアブレーションですが、心室領域に広がってくる可能性も含め、難治症例において最適なアブレーション手法を選択するための知識、技術も求められています。さらに、EV-ICD(血管外植込み型除細動器)の登場により、デバイス治療においても新たな選択肢が加わりつつあります。
一方で、治療の対象となる患者背景も複雑化してきています。超低心機能症例、高齢者、さらにはVAD(植込み型補助人工心臓)を装着している症例など、これまで以上に高度な判断と技術が求められる局面が増えています。そのため、我々医師のみならず、臨床工学技士や看護師を含む医療チーム全体として、常に知識を更新し、チームとしての総合力を高めていくことがこれまで以上に重要となっています。
本シンポジウムは、そうした知識と経験を互いに共有し、実臨床に活かすためのまたとない機会です。これからこの分野を志す若手の皆様から、すでに第一線でご活躍されているエキスパートの皆様まで、垣根を越えて議論し合い、学び合うことで、参加者一人ひとりが新たな気づきを得ていただける場となれば幸いです。
心室不整脈という難治性疾患に対峙する我々にとって、最新の知見や技術、そして実際の現場での経験の共有は何よりの財産です。第5回も、参加者の皆様のご協力のもと、実りあるシンポジウムとなるよう全力を尽くしてまいります。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。
第5回 Japan VT Symposium
当番幹事
上田 明子(杏林大学医学部不整脈先進治療学研究講座)
福沢 公二(神戸大学大学院医学研究科内科学講座・循環器内科学分野)